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ニュージーランドの旅によせて


by kazekirari
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私は鳥になる! バンジージャンプ その 2

 師走下旬の夜だった。徳島に住む弟から電話があった。
「ニュージーランドに行ったんだって」「うん」「よかったね。オークランドよかった?あの街に興味あるんだ」「うん、大都会だったけど、落ち着いて、品のある素敵な街だった。パートナーがいたら、住みたいと思った。」「へえ、そう!何よりだね。」「あなたたちと住むってのもいいなって思うよ。実現遠くって感じだけどね。外国に住むことなんか一度も頭を過ったことないけどネ、永住権取ってるこの旅をアレンジしてくれた団長の生活スタイルは、魅力的だと思った。」「なるほど。よかったねえ」「あのネ、バンジージャンプ やったの」「オー! それは凄いねえ!だけど、危険だよね」「うん。賛否両論!の声を貰ってる。日本で考えるバンジージャンプと現地の概念は大分違うんだけどね。」「そうだろうね。でも、凄いことやったね」「ウン アリガト!行く前から、バンジージャンプを旅の楽しみ体験に入れといたんだけどネ。飛ぼうと決める力が私に残ってたことを確認出来て救われた。お父さんをみおくってから、私、ひどかったからね。」「そうか。それはいいや。ジャンプの様子見たいね」「仲間がね、静止画と動画で撮ってくれててね、それを見て これは夢の世界だって思うよ。信じられないくらいの枚数を私も撮ったんだけど、自分では決して撮れない私を撮って貰って、旅は、終わってからの方が味わいがあるのよ。それとね、一緒に旅した人たちとの出会いもこれからの貴重な財産になると思うよ。バンジーイコール私と結びつかなかった人が圧倒的に多くてね、面白かった。あなたをすごく近くに感じたと言ってくれた人が何人かいたの。これは、涙もんよ。私、今だに、硬いイメージ強いんだね。」 
 この夜の弟との電話は、珍しく長話になった。

 私は鳥になる! バンジージャンプ その 2_a0118286_17193394.jpg2008年5月、私たち家族は、父を見送った。97歳、市井の片隅で地味に生きた父だった。’07年12月に肺炎で緊急入院し5か月後の夜、弟夫婦に見送られ静かに目を閉じた。最後まで意識は鮮明で、私たち家族は「人生を生き切った父」を五月晴れの空に静かに見送った。アルツハイマー型認知症が進行する母は、立派に喪主を務めた。その姿は、今、思い出しても、実に見事だった。先日「お父さんの1周忌の法事」の話をしたところ「あら、お父さん死んだの?」と、不思議そうな顔で言った。
 5月のゴールデンウイーク 父の墓前に、88歳の母を真中に、きょうだい4人と連れ合い、甥姪が集う。
※画像は95歳の父・喜三。シナリオ作家・TVディレクターを職業とする甥は、入籍したパートナーとおじいちゃんを訪ねてきた。マスコミ業界の裏話を父は興味深そうに、あれこれと尋ねていた。

 父の死後、7日ごとのおつとめ、49日とお盆の法要、100日祭まで、私は元気だったと思う。
 高速道路1時間をとばし、A町の実家行きが苦になることはなかった。現職時代から心を込めた介護の一端は「今、出来ることに心を込めて」と考え数年を実家に走った。定年退職後は、両親と同居をしてくれた弟夫婦の少しでも役に立てばと思い、私は、両親と“遊ぶ”ためと通院補助のために帰省を繰り返した。
絵本を読み合い、詩吟を一緒に吟じ、唱歌を歌い、散歩をしたり、畑の手伝いをして楽しんだ。

 100日祭を終えた夏の朝、突然、ベットから立ち上がれなくなった。秋、大きなイベントもあったNPO法人の活動と遠隔地への出張もあった大学の非常勤講師役は、何とか穴を開けずに努めたはずだが、所在ない自分の日々にすすり泣く日を過ごした。「重症なトンネル入り」を自覚し、当分、流れに身を委ねて過ごそうと思ったが、自己嫌悪と孤独の感情をどう処理しようか、思案する日々だった。気分が滅入った時に通院し、体を楽にしてもらうOメンタルクリニックのブロック注射もその時は効果がなかった。だが、ボランティアの多くの仲間の存在が救いになった。若い学生たちが元気をくれた。しかし、肝心の実家行きが実行できなくなり、弟夫婦との間に不本意な溝が生まれてしまったのである。

 そんな言ってみれば、私の人生何度目かのピンチ状態真っ最中のニュージーランド旅行だった。日常から非日常の環境に身を置き、自然体に戻りたいと心から願った。スケールの大きい自然や人々の暮らしぶりが、新鮮に心に染み、食事時のワインをゆったり味わい楽しむことが出来た。この旅で、私は、名誉ある「飲んべえ仲間」の席を確保?した。同室のR子さんに「現職時代の話や離婚、恋人とのあれこれ」を語っている自分に気づいたのは、旅の幾つ目の夜であったか。
 私は、子供の時代から今に至っても、あまり、自分を語りたがらないタイプの人間である。

 
私は鳥になる! バンジージャンプ その 2_a0118286_3163087.jpg再び、バンジージャンプをすることはないだろうが、「バンジーはネ・・・」と、幾つかの伝えたい思いがある。誰にでも「おやりなさい」と、勧められる事ではないが「楽しい遊び」であることと事後、私が、整理した心得だけは伝えたい。 
画像は、ナデシコジャンパー1番 K子さんのスタート姿勢。明らかに、私の姿勢とは大きく違っている。K子さんの姿勢が、人間の体の原理・原則に適った姿勢である。このスタートポーズは、お見事で何度見ても、惚れぼれする。体育会系の肝っ玉が座ったチャーミングで明るいK子さんは、酒の飲みっぷりもイカスのである。
 バンジージャンプ その 1に「あれ!ちょっと 違った」と書いた内容は、次回に書くことにしたい。
 
by kazekirari | 2009-03-30 15:01